顧客関係管理(CRM)とは?

 

顧客関係管理(こきゃくかんけいかんり、CRM:Customer Relationship Management)とは、受注率や契約継続率の改善を目的に、見込み顧客や契約者との関係を深めようとする考え方や、そのための仕組みを指します。

例えば受注率の改善を目的に導入される場合、営業が名刺交換した見込み客や資料請求したユーザーをデータベース化し、商談の進捗や見込み客の検討段階毎に異なるアプローチを取れるようにします。

これは幅広くターゲットを設定して接点を多くもつ事を目的としたマス・マーケティングとは対象的なアプローチです(One to Oneマーケティングと言われます)。

重厚長大の時代は過ぎ去り、現代は価値観が多様化した時代と言われます。お客様の個別のニーズに応えつつ従業員の労働生産性を高めるために、顧客関係管理の考え方が幅広い業種・業界にて取り入れられてきました。

本記事では、CRMの知識をさらに深めたい方向けに、日本における代表的なCRMシステムとその選定方法についてお伝えします。

顧客関係管理の歴史

顧客関係管理(CRM)は、1970年代のアメリカではすでに提唱されはじめていたと言われています。

1990年代後半に入ってSiebel、Gartner、IBMといった大手IT系コンサルティング会社が盛んに取り上げたことで、世界的に注目されるようになった経営手法です。(出展:Customer relationship management - Wipipedia

日本においても顧客との関係性を大事にする思想は根強く、古くは江戸時代、商家の大福帳に見られるように実践されていました。

「顧客毎に、顧客の状況に合わせた対応をする」ことの重要性は古くから提唱されていましたが、この考え方を突き詰めれば突き詰めるほど多大な人的リソースがかかる、という課題を抱えるようになります。

この課題を克服し、近代のCRMの普及に拍車をかけたのは、IT技術の進化とインターネットの高速化です。

後ほどご紹介しますが、現代では顧客関係管理をサポートするシステムやツールが数多く生まれています(一般的にそれらをのシステム・ツールを、CRMシステム、またはCRMツールと呼びます)。

日本における顧客関係管理の歴史

 

バブル経済終息以降:マス・マーケティングからOne to One マーケティングへ

 

かつて高度経済成長期において盛んに使われていたのは、商品を大量かつ一気に販売するために、幅広くターゲットを設定したマス・マーケティングです。

しかし、バブル経済の終息に加え、新興国の台頭や少子化など様々な要因から、市場競争が激化。コスト低減による消耗戦に陥らないためには、幅広くマーケティングを行うのではなく、顧客と長期的な関係づくりをすることで、収益性を高める方向への転換が求められるようになりました。

 

 

1990年代半ば:データベース分析による顧客管理

 

そのため1990年代半ばには、顧客情報を蓄積し、優良顧客を分析するRFM 分析のようなデータベース分析が注目を浴びるようになりました。この流れから、大手企業を中心にCRMの導入がブームとなり、ツールを内製で開発する企業も現れました。

この頃は顧客情報の一覧性を高め、誰でもアクセスできるようにすることがCRMの目的と捉えられていたふしがありますが、本来のCRMの理念は一貫して「顧客とのより良い関係を継続すること」です。

また、この時代は多くの企業がエクセルを使って顧客管理を行っていました。

 

 

2000年代:CRMツールの発展と普及

 

2000年代になると、国内のIT企業や海外で成功を収めたCRMベンダーが続々と日本市場に参入しはじめます。

このころから徐々にCRMはオンサイト型(オンプレミス)からインターネット経由のオンデマンド型(クラウド)にシフトしたことで、導入のハードルが大きく下がりました

2010年代以降の我が国においてCRMは、もはやマーケティング活動に欠かせないものとなり、単に顧客情報を統合できるだけでなく、デジタルマーケティングやオムニチャネルなどあらゆる活動と連動させる動きが活発になっています。

また、SaaS(ソフトウェア アズ ア サービス)市場の発展に伴い、カスタマーサクセスに特化したCRMシステムや、コミュニケーションツール(たとえば、LINEの問い合わせ対応)に特化したシステムなど、幅広い選択肢から、目的に合ったCRMツールを選び取ることが可能になりました。

顧客関係管理システムの機能

顧客関係管理の本質とは

 

具体的な機能について解説する前に、CRMの本質をあらためておさらいします。

顧客関係管理の本来の目的は、One to Oneマーケティング(顧客一人ひとりに最適な対応をすること)の実現です。

CRMというと「顧客情報のデータベース化」や「顧客情報の共有」に焦点が当てられがちですが、それらはCRMの中核ではあるものの、手段のひとつに過ぎません。

極端な話、これまでに接触した見込み顧客のステータスを管理して、メールや電話など数あるコミュニケーションチャネルのうち、最適なものを選択しながら顧客のステージ毎に適切な情報提供ができている自信があるのであれば、そのデータベースはエクセルのままでも良いわけです。

曖昧な理由でCRMツールを選定すると、機能やコストだけで選択してしまいがちですが、それは導入失敗に直結します。

「優れたデータベースを作ること」ではなく「少ないコストで優れた顧客対応を実現すること」がCRMの本質なのです。

CRMパッケージの種類

CRMには大きく分けて「カスタマーサポート型CRM」と「営業支援型CRM」、そして両者を内包する「オールインワン型」の3通りが存在し、それぞれ機能が大きく異なります。
カスタマーサポート型CRM

契約した後のユーザーの疑問やクレームに対して少人数で素早くかつ的確に対応するためのヘルプデスクを提供するパッケージです。コールセンターなどでの導入が主眼に置かれています。

代表的な機能は以下の通りです。

カスタマーサポート型は、ここ数年のSaaSプロダクトの急激な増加により需要が高まっています。

特にSaaS系プロダクトの場合、求められているのは単なる問い合わせ・クレーム窓口ではなく、よりプロアクティブなコンサルティングやアップセルを実現するカスタマーサクセスとしての役割ではないでしょうか?

カスタマーサポート型のCRMを活用することで担当者は生産性の高い業務に集中できるようになります。

営業支援型CRM

CRMと時期を同じくして発展をしてきたものに、SFA(Sales Force Automation)があります。日本語では営業支援システムと訳されます。営業業務の属人性を解消するのが狙いです。

昨今のCRMはこのSFAの機能を取り込んだものがほとんどで、顧客データベースと連動して商談に至らなかったり失注してしまったりした見込み客の掘り起こしをサポートします。

代表的な機能な以下の通りです。

営業支援型CRMの選定にあたっては、商談プロセスの複雑さや実際に活用する営業パーソンの人数により最適なツールが異なります。

オールインワン型CRM

「カスタマーサポート」と「営業支援」どちらにも対応できる機能をもったパッケージです。

大手CRMベンダーの製品の多くがこの分類に属します。

受注後の顧客に対してセールス担当がそのまま窓口となる場合や、カスタマーサポート担当者に対して営業段階の情報共有が重要なサービスに向いています。

万能といえば聞こえは良いのですが、両者を連携させるためにはオプションの契約やカスタマイズが必要となりますので高額になりやすいのがデメリットです。

お客様の声

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顧客関係管理システムの選定について

そもそもCRMシステムを外注すべきか?内製すべきか?

 

外注でCRMパッケージを導入するメリットは主に3つです。

  • 導入速度が早い
  • 初期コストが安い
  • (カスタマイズしないのであれば)開発コストやリソースがかからない

内製でCRMを進める場合はこの逆となりますが、内製には自社のサービスに合わせて独自機能を柔軟にカスタマイズできる良さがあります。

初めて顧客関係管理システムを導入する企業はコスト高となる内製を避け、パッケージ製品を導入することがほとんどです。

内製をうまく機能させるためには膨大な開発リソースを要しますので、エンジニアのリソースを自社プロダクトに集中させることができる、という点も見逃せません。

国内企業では、メルカリ社が内製CRMと外注パッケージを併用しているそうです。

CRMツールを導入するにあたっての課題は「運用」

 

CRM導入した企業からもっとも多く聞かれる失敗例は、「使いづらくて運用を止めてしまった」というものです。

例えば「操作方法がわからない」「入力内容の頻度や密度が担当者によって異なる」「何度伝えてもログインしないユーザーがいる」などの事例が典型です。(参照:10 CRM Mistakes and How You Can Avoid Making Them | CIO

このような問題が起こる理由は「CRMの選定者と実際の利用者が異なるから」という一点につきます。

日本において通常CRMはマーケティング部門やカスタマーサービス部門によって選定されますが、実際に日々管理画面を操作するのは営業パーソンやカスタマーサポート担当者であることがほとんどです。

この両者のギャップが「使いづらくて運用を止めてしまった」という問題を生じさせているのです。

導入検討段階で明確にすべきこと

 

運用段階での課題を回避するために、CRMの導入担当者が明確にしておくべき事項は以下の通りです。

(1)CRMの導入目的を明確にすること…「営業支援」なのか「契約カスタマーのサポート」なのか?もしくはその両方か?

(2)評価指標を設定すること…「商談化率」「受注率」「一人あたり問い合わせ対応数」「契約継続率」等。

(3)業務フローと実際にツールを使うメンバーの明確化…発生から完了まで、一連の業務の流れはどのようなもので、その中でCRMはどのように利用されるか?

管理画面を操作するのは何名か?ITリテラシーはどの程度か?

(4)(1)~(3)に合致した製品を選択すること

 

このとき、もっとも重要なのは(1)です。そもそもCRMには「営業支援」向きのツールと「カスタマーサポート」向きのツール、そしてその両方に対応できるオールイン型のツールの3種類があります。

代表的なCRMシステムの一覧と比較

 

ツール名

無料トライアル

1ユーザーあたりの最低月額

導入企業(一例)

Freshdesk

$0~

AMERICAN EXPRESS

DHL

ヒューレット・パッカード

ブリヂストン

Oracle Service Cloud

16,800円~

富士フィルム

パナソニック

やよいの顧客管理

5,000円

※買い切り型

モノ・インターナショナル株式会社

株式会社麗

Freshdesk

Freshdesk は、クラウド型のカスタマーサポートツールです。

顧客からの問合せメール、チャット、通話などを「チケット」という概念で管理し、共通画面から対応状況を共有。チケット単位で優先順位や対応状況などのステータスを付与できます。

顧客の自己解決を促すFAQサイトを作成する機能、コミュニティフォーラムを作成する機能、Webページ上にチャットボットを設置する機能等も備えており、カスタマーサポートをはじめるために必要な機能を一式揃えたソフトウェアです。

無料トライアル:あり(21日間)

価格:$0~$99まで、5プランにて展開

 

Oracle Service Cloud

Oracle Service Cloudは、クラウド型の統合カスタマー・サポートソリューションです。

顧客から寄せられた、電話、メール、チャット、SNS(Twitter, Facebook)などマルチチャネルからの問合せを一元管理し、組織で共有できます。メール問合せ、電話応答履歴などを集約して蓄積することでナレッジ化でき、ユーザーへの自己解決を促すFAQコンテンツ、対話型FAQコンテンツの作成も可能です。

無料トライアル:あり(21日間)

価格: 16,800円~/月(目安) ※詳細は問い合わせ

 

やよいの顧客管理

やよいの顧客管理は、オンプレミス型のカスタマーサポートソフトウェアです。

顧客情報を集約し、簡単に購入履歴情報を付与した顧客台帳を作成できます。

作成した顧客台帳は、性別や誕生月、来店頻度など、条件つきの検索画面からいつでも検索することが可能です。業種別にテンプレートがプリセットされているので、検索画面を簡単にカスタマイズできます。

宛名・送り状印刷機能や、RFM分析機能も搭載。「弥生会計」「弥生販売」など弥生シリーズとの連携もスムーズ。顧客台帳を整理して活用したい方にとって使い勝手の良いシステムです。

無料トライアル:あり(30日間)

価格:初年度¥5,000~

営業支援型

 

ツール名

無料トライアル

1ユーザーあたりの最低月額

導入企業(一例)

Sansan

問い合わせ

北九州市役所

再春館製薬所

eセールスマネージャー

6,000円

NECネクサソリューションズ

GMO MAKESHOP

Senses

5,000円

サカエ

favy

Hubspot

無料

SUBARU

ANKER

Sansan

Sansan(サンサン)とは、Sansan株式会社による、法人向けクラウド名刺管理サービスを中心とした顧客管理システムです。数名規模から大企業まで、約7,000社に導入されています。

名刺をスキャナーやスマートフォンアプリで読み取るだけで、OCR技術とSanSanのオペレーターによりデータ化され、名刺情報を企業内で管理・共有することが可能になります。

名寄せ機能、コンタクト管理機能を有するほか、外部リソースとの連携による人事異動情報、企業のニュース通知機能を備えています。

モバイルアプリにも対応。

無料トライアル:あり(一部機能)

価格:個別見積

 

eセールスマネージャー

eセールスマネージャーは、純国産のクラウド・オンプレミス型SFA/CRMソフトウェアです。営業支援、顧客管理、名刺・人脈管理、マーケティング機能を備えています。

日本の営業スタイルに適したシステム設計が強みで、見やすく、分かりやすい画面で案件管理、商談管理、営業マンのスケジュール管理が可能です。

タイムライン機能からはチームメンバーの商談進捗も確認でき、自身の営業活動とチーム内コミュニケーションの両立に使い勝手の良いソフトウェアです。

無料トライアル:可能

価格:¥6,000~

 

Senses

Senses(センシーズ)は、営業支援に特化したクラウドツールです。

直感的に利用できるわかりやすいインターフェースに強みがあり、日々の営業進捗をカード形式で管理できます。取引先の企業情報、財務情報、プレスリリースをツール上で取得する機能により、取引先の情報収集をツール上で実現できます。

また、G SuiteやOffice 365などの外部ツールと連携して、メールでやりとりしたアポイントの予定を自動でツール上へ反映。顧客とやりとりした内容を再度入力する手間を省略できます。

無料トライアル:あり

価格:Starterプラン 月額2.5万円(5ユーザーまで)~3プランにて展開

Hubspot

Hubspotは、無料ではじめられるクラウド型営業支援・CRMツールです。世界120か国以上、78,700社の企業に導入されています。

Hubspotの無料版「Hubspot CRM」には、顧客管理システムとして必要なコンタクト情報管理機能、Gmail連携機能、フォーム作成機能など、CRM、SFAを実現する豊富な機能が揃っています。使用期間は無期限です。

必要に応じて「Marketing Hub」「Sales Hub」など有料版アプリを導入することで、更に機能の拡張をしていくことが可能です。

無料トライアル:可能

価格:無料

オールインワン型

ツール名

無料トライアル

1ユーザーあたりの最低月額

導入企業(一例)

Salesforce

3,000 円~(CRM/SFAそれぞれ)

NTTコミュニケーションズ

パソナ

Microsoft Dynamics 365

7,070円~(SFA)

5,440円~(CRM)

アクセンチュア

Adobe

Kinetone

1,500円~

パーソルキャリア

東京急行電鉄

Zoho CRM

1,440円~

星野リゾート

日本電通

Salesforce

Salesforceは、世界で10万社以上に選ばれ、国内外でトップシェアを誇るクラウド型SFA/CRMシステムです。

Salesforceのうち、SFAシステムに該当するSales Cloudでは、取引先情報管理、商談管理、見込み客管理など営業活動に必要な機能をオールインワンで提供する他、充実のレポート・分析機能を備えています。

また、カスタマーサポートを構築するService Cloudでは、コールセンター、問い合わせ管理などCRMに必要な機能を備え、Sales Cloudとの連携も可能です。

その他、マーケティングを支援するMarketing Cloud、ECサイト運営企業向けのCommerce Cloudなど多様なソフトウェアを必要に応じて導入して連携できるところもポイント。iPhone/Androidにも対応しています。

無料トライアル:可能(30日間)

価格:Essentialsプラン/1ユーザーあたり3,000 円(税抜)/月~(10人までの組織で利用可)など、5つのプランで展開

 

Microsoft Dynamics 365

Microsoft Dynamics 365は、日本マイクロソフト株式会社による、国内シェアナンバー2のSFA/CRMスイートです。

Microsoft Dynamics 365 Salesでは、顧客管理、商談管理、活動管理、ダッシュボードなど営業支援に必要な機能を一通り備えています。また、Microsoft Dynamics 365 Customer Serviceでは、問い合わせ管理、セルフサービスポータル、メールルーティング、ナレッジ管理などCRM機能全般を提供。

使い慣れたOffice製品との互換性が良いところも特徴です。Windows、iOS、Android モバイル デバイス向けのアプリに対応。

無料トライアル:試用版あり(30日間利用可能)

価格:Sales Professionalプラン  ¥7,070/月~

Customer Service Professionalプラン  ¥5,440/月~

 

Kinetone

kinetoneは、CRMシステムというよりは、CRMに必要なアプリを組み合わせることで、業務アプリを作成できるクラウド型のグループウェアです。

顧客管理、日報機能、問い合わせ管理、アンケート機能など豊富なアプリの他、APIやプラグインなど100種類以上の連携サービスを組み合わせて、自社に必要な顧客管理業務・営業支援ツールを作成できます。

無料トライアル:可能(30日間~)

価格:月額780円~/1ユーザーあたり(ライトコース)

   月額1,500円~/1ユーザーあたり(スタンダードコース)

 

Zoho CRM

Zoho CRMは、世界15万社で導入されているクラウド型CRM/SFAツールです。見込み客管理、商談管理、キャンペーンメールの送信、傾向分析などのレポート機能を備えています。

カスタマイズ性が高いところが特徴で、独自のワークフローを設定し、営業のお礼メールの自動送信、通知送信を設定することも可能です。

無料トライアル:可能(30日間~)

価格:月額780円~/1ユーザーあたり(ライトコース)

   月額1,500円~/1ユーザーあたり(スタンダードコース)