カスタマーサポートツールとは、問い合わせ対応の効率化・自動化を目的に、カスタマーサービスを行う部署で導入するシステムの総称です。

カスタマーサービスを行う部署とは、

  • 企業のお問い合わせ窓口全般
  • 金融機関・通信販売のコールセンター
  • 企業内・組織内の社員向けサポート窓口(情報システム部門/人事・総務部門)

などがあります。

たとえば、ECサイトの管理者が、問い合わせ窓口の効率アップを目的にカスタマーサポートツールを導入する場合、E-mail、チャット、電話など複数チャネルの問い合わせを1つのシステム上に集約してスタッフ間で共有する機能などを活用します。

また、FAQ機能を搭載しているツールでは、「よくあるお問い合わせ」とその回答を手軽に記事化してFAQサイトを作成することで、顧客の自己解決を促すことも可能です。

本記事では、カスタマーサポートツールについて知識を深めたい方向けに、日本における代表的なカスタマーサポートシステムとその選定方法についてお伝えします。

customer support with freshdesk and google apps 2x customer support with freshdesk and google apps 2x

カスタマーサポートツールで効率化できる顧客対応業務

カスタマーサポートツールで効率化・自動化できる顧客対応業務は、以下4つに分類できます。

顧客情報・応対履歴管理業務

最新の顧客データベースとこれまでの応対履歴を紐づけて、チーム内で共有、閲覧する機能です。

コールセンターやお客様窓口にて、別々のスタッフが案内するときも、これまでの経緯、顧客情報を踏まえた問い合わせ対応、クレーム対応ができます。

複数チャネルからの問い合わせの内容を一元化

複数チャネル(電話、お問い合わせフォーム、E-mail、SNS、チャットボットなど)の問い合わせを一か所に集約し、チームで共有、対応できる機能です。

  • 複数チャネルから問い合わせを受けた場合にも、一貫した対応ができる
  • ツール間を行き来することなく顧客対応が可能
  • ステータス管理、優先順位のラベル付け、担当者管理により、返信漏れや重複対応のリスクが低い

近年は、この問い合わせ1件を、「チケット」という概念で管理するのがトレンドです。

FAQサイト作成業務

顧客から寄せられた問い合わせとその回答を「よくある質問」として一か所に蓄積し、ナレッジ化(記事化)することで、独自のFAQサイトを作成します。

ここで作成したFAQサイトには2つの役割があります。

外部に公開:FAQサイトをインターネットで公開し、顧客の自己解決をサポートする。

顧客がわざわざ問い合わせをする手間が省け、自己解決ができることで、カスタマーサポート部門も複雑な問い合わせ対応や本来集中すべき業務に集中できるようになります。

内部で共有:FAQサイトをナレッジベースとしてカスタマーサポート部門内で共有し、今後同様の問い合わせがあったときの回答の参考にする。

これにより、回答速度や、回答内容の一貫性を上げることが可能です。

カスタマーサービス品質レポート作成

多くのカスタマーサポートツールで、顧客対応窓口のサービス品質に関わるレポートを自動的に作成できます。

たとえば、

  • 問い合わせ1件あたりの応対時間は?
  • 問い合わせが多かったり、対応が長期化したりする製品はどんなものか?
  • どのエリアのどの年代のユーザーからの問い合わせが多いか?

このような情報を、データを直接触ったり加工したりすることなくレポート化できるため、結果としてカスタマーサービスフローの改善がスムーズになります。

カスタマーサポートツールの選定について

そもそもカスタマーサポートツールを外注すべきか?内製すべきか?

外注でカスタマーサポートパッケージを導入するメリットは主に3つです。

  • 導入速度が速い
  • 初期コストが安い
  • (カスタマイズしないのであれば)開発コストやリソースがかからない

内製でカスタマーサポートツールの開発を進める場合はこの逆となりますが、内製には自社のサービスに合わせて独自機能を柔軟にカスタマイズできる良さがあります。

たとえば、大手物流会社は、古くは1970年代後半より、送り状作成(問い合わせ番号の発行)から荷物のステータス管理まで一気通貫で管理できる独自のカスタマーサポート・物流ツールを開発し、現在も進化させ続けることで、顧客満足度の向上に取り組んでいます。

(参照:「佐川の「歴史」をたどる軌跡 https://www.freshworks.com/freshdesk/ SGホールディングス

一方で、初めてカスタマーサポートツールなどの情報システムを導入する企業は、コスト高となる内製を避け、パッケージ製品やクラウドサービスを導入することがほとんどです。

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カスタマーサポートツールを導入する課題は「運用」

帝国データバンクの調査によると、カスタマーサポートツール等のIT投資を行った企業からよく聞かれる課題は、「セキュリティ等のリスク対応が必要」「社員のIT能力が不足している」など、運用にまつわる問題です。

今後IT投資を行う上での課題

特に、ITツールを運用する「人材」を課題に挙げている企業は全体の約6割に及びます。

(参照:中小企業における ITの利活用 https://www.freshworks.com/freshdesk/ 中小企業庁

このような問題が起こる理由は「ツールの選定者と実際の利用者が異なるから」という一点につきます。

日本において通常カスタマーサポートツールは、IT部門、カスタマーサポート部門のマネジメント層によって選定されますが、実際に日々管理画面を操作するのはカスタマーサポート担当者であることがほとんどです。

この両者のギャップが「使いづらくて運用を止めてしまった」という問題を生じさせているのです。

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導入検討段階で明確にすべきこと

運用段階での課題を回避するために、カスタマーサポートツールの導入担当者が明確にしておくべき事項は以下の通りです。

カスタマーサポートの導入目的を明確にすること…「複数チャネルの顧客対応」なのか「コールセンターのカスタマーサポート対応」なのか?もしくは「BtoB向けのカスタマーサポートツール」が必要なのか?

評価指標を設定すること…「平均問い合わせ解決速度のアップ」「契約継続率アップ」「ユーザーひとりあたりの問い合わせ率ダウン」等。

業務フローと実際にツールを使うメンバーの明確化…問い合わせ発生から完了まで、一連の業務の流れはどのようなもので、その中でカスタマーサポートツールはどのように利用されるか?

に合致した製品を選択すること

 このとき、もっとも重要なのは(1)です。そもそもカスタマーサポートツールには、「複数チャネル」向きのツールと「単数チャネル」向きのツール、そして「BtoB」向け(メール対応が主)ツールの3種類があります。

カスタマーサポートツールの種類

現在国内で展開しているカスタマーサポートツールは、主に以下3つに分類できます。

複数チャネル管理対応型

複数チャネルから問い合わせを受け取る業態、たとえばECサイトやSaaS(クラウドサービス)に向いているのがこのタイプです。

複数チャネル対応型は、ここ数年のECサイトの急激な増加により需要が高まっています。

特にECサイト管理の場合、顧客対応窓口に求められているのは単なる問い合わせ・クレーム窓口ではなく、より顧客満足度を高める役割ではないでしょうか?

ショッピングモールや受注システムとの連携機能を備えているものであれば、「ショッピングモールからの問い合わせにツールから返信」など、より高度なカスタマーサポートシステムの構築が期待できます。

単数チャネル特化型

「電話」「LINE」「お問い合わせフォーム」など、それぞれ一つのチャネルに特化したカスタマーサポートツールです。

1つのチャネルに特化し、きめ細かい機能を提供するのをセールスポイントとしながら、他のチャネルとの連携もできるものが殆どです。

BtoB特化型

メール対応が主体の、BtoBに特化したカスタマーサポートツールです。社内ヘルプデスク対応にもこちらが使われる傾向にあります。

特にリモートワークの推進に伴って、ヘルプデスクへの問い合わせ対応は増加することが予測されます。

「社内ポータルへ接続するためのパスワードを忘れてしまったがどうすればよいか?」など、社員からのよくある問い合わせを社内FAQとして公開することで、同じような質問に回答する機会を省略し、ヘルプデスクの社員が本来集中すべき業務に対応できます。

お客様の声

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代表的なカスタマーサポートツールの一覧と比較

複数チャネル対応型

ツール名

無料トライアル

1ユーザーあたりの最低月額

導入企業(一例)

Freshdesk

$0~

AMERICAN EXPRESS

DHL

ヒューレット・パッカード

ブリヂストン

Zendesk Support

$5~

NETFLIX

CASIO

agoda

メールディーラー

問い合わせ

Hamee

ヤッホーブルーイング

日比谷花壇

Re:lation (リレーション)

4,267円~

(3ユーザー、

 2メールアドレスの場合)

DMM.com

富士薬品

森永乳業

Tayori(タヨリ)

0円~

GMOアドマーケティング

サードオフィス

メジャース

メールワイズ

500円~

星野リゾート

ココナラ

ブックオフオンライン

Freshdesk

Freshdesk」 は、複数チャネル対応の、クラウド型カスタマーサポートツールです。

顧客からの問い合わせメール、チャット、通話などを「チケット」という概念で管理し、共通画面から対応状況を共有。チケット単位で優先順位や対応状況などのステータスを付与できます。

顧客の自己解決を促すFAQサイトを作成する機能、コミュニティフォーラムを作成する機能、Webページ上にチャットボットの設置も可能。

各サービスの応対品質分析機能も備えており、カスタマーサポートシステムを構築するために必要な機能を一式揃えた廉価なソフトウェアです。

無料トライアル:あり(21日間)

価格:$0~$99(ユーザー1人あたりの月額) ※5プランにて展開 

freshdesk freshdesk

Zendesk Support

Zendesk Support」は、アメリカ発のクラウド型問い合わせ管理システムです。世界150,000社以上、国内でも2,500社以上での導入実績があります。

顧客対応全般をサポートする必要な機能を提供するソリューションで、マルチチャネルの問い合わせ管理機能の他、平均回答速度を確認できる分析、レポート機能も搭載しています。

※FAQシステム機能を本格的に利用する場合は、別途の「Zendesk Guide」の導入が別途必要です。(Zendesk Supportには、Zendesk GuideのLite版を搭載)

無料トライアル:あり

料金プラン:$5~$199(ユーザー1人あたり月額) ※4プランにて展開

zendesksupport zendesksupport

メールディーラー

「メールディーラー」は、複数名でのメール共有・管理・対応を効率的に行えるクラウド型メールグループウェアです。導入実績は6,000社超。

E-mailのほか、LINE公式アカウント、電話、Twitterなど複数チャネルの問い合わせに対応しています。R-Messe問い合わせ管理(楽天市場)、Yahoo!ショッピング等各種ECサイトとの連携も可能です。

メールステータスを管理できる機能の他、返信中のメールにロックがかかり別のスタッフによる重複対応防止をする機能や、メール送信時に申請、承認フローを組み込む機能などを備えています。

無料トライアル:あり

料金プラン:問い合わせ

maildealer maildealer

Re:lation (リレーション)

「Re:lation (リレーション)」は、2,200社以上に活用されているメール・LINE・Twitter・電話を一括で管理できるクラウド型カスタマーサポートツールです。

ECの問い合わせ管理に向いており、楽天等のモールから受信したメッセージも管理できるため、ツール間を行き来しなくて良いところがポイント。受注連携システムや、CRMツールとの連携も簡単にできます。

無料トライアル:あり(20日間)

料金プラン:4,267円~(ユーザー1人あたり月額)

      ※ユーザー3名、2メールアドレスの場合

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Tayori (タヨリ)

「Tayori (タヨリ)」は、無料ではじめられるカスタマーサポートツールです。これまでに30,000アカウント以上で導入されています。

メールフォーム、FAQ、チャット、アンケート作成機能を有しており、無料版でも、メールフォーム機能、FAQ機能の利用がそれぞれ1種類まで使用可能です。レスポンシブデザイン対応。

無料トライアル:あり

料金プラン:フリープラン 0円、スタータープラン3,400円、プロフェッショナルプラン 7,400円(税抜)の3プランで展開(ユーザー1人あたり月額)

tayori tayori

メールワイズ

「メールワイズ」はチームでのメール対応を一元管理して効率化できる、サイボウズのクラウド型メール共有システムです。

メールの送受信、ステータス管理機能に加え、電話、チャットなどでのやりとりをコメントで追加できる機能を有します。

全体連絡用の掲示板機能もあり、たとえばメンバーの休暇情報など全体向けの通知も共有できます。

無料トライアル:あり(30日間)

料金プラン:スタンダードコース/500円(月額)※1ユーザーあたり。2ユーザーより契約可能

プレミアムコース/1,500円(月額)※1ユーザーあたり。2ユーザーより契約可能

mailwise mailwise

単数チャネル特化型

ツール名

無料トライアル

1ユーザーあたりの最低月額

導入企業(一例)

FastHelp5

×

問い合わせ

第一生命保険

資生堂

NEXCO中日本

CSCloud

問い合わせ

ソウルドアウト

ファナティック

チャットプラス

1,500円~

三井不動産商業マネジメント

日本航空

東急スポーツシステム

formrun

0円~

スタディプラス

文化放送

CAMPFIRE

FastHelp5

「FastHelp5」は、20年以上の実績を誇るコールセンターの問い合わせ管理、オペレーション管理に最適なクラウドサービス・オンプレミス型から選べる顧客対応ツールです。

オペレーターが顧客対応中に回答に困ったときにSVへ質問ができるメッセージング機能やアラート設定機能があり、コンタクトセンターの生産性向上アップに貢献します。

問い合わせ管理のほか、回答支援機能として、FAQ検索、テンプレート検索、類似コール検索機能を備えています。

無料トライアル:×

料金プラン:問い合わせ

fasthelp5 fasthelp5

CSCloud

「CSCloud」はLINE公式アカウントの共有に特化したカスタマーサポートツールです。

顧客からの問い合わせに即時対応できる自動応答チャットボットによりユーザーの自己解決を促し、必要な場合にのみオペレーターへ接続。複数拠点やリモートでのLINE公式アカウントの対応が可能です。

最新の応対履歴と過去の応対履歴を別のウインドウで同時に表示でき、履歴を遡る手間も省けます。

顧客との対応は自動でタグ付けができるため、属性に合ったセグメント配信が可能に。CVRの高いキャンペーン配信が期待できます。

無料トライアル:あり

料金プラン:問い合わせ

cscloud cscloud

チャットプラス

「チャットプラス」は、ウェブサイト上にチャットボットを設置することで、カスタマーサポートを行うクラウド型チャットシステムです。2,500社11,500媒体以上で導入されています。

チャットボットでの定型文の返信機能のほか、有人対応による訪問者へのおもてなしに対応。チャットでクローズしない質問には、チケットを発行し、電話、メール対応をすることも可能です。

無料トライアル:あり(10日間)

料金プラン:

ミニマムプラン 1,500円/月~5プランにて展開(1ユーザーあたり、年払いの場合)

chatplus chatplus

formrun

「formrun」は、無料ではじめられるクラウド型フォーム作成ツールです。

20種類以上あるテンプレートから簡単に、自由度の高いデザインで、問い合わせフォーム、アンケート、見積依頼、会員登録フォームなど、オリジナルのフォームを作成、設置できます。

また、作成したフォームから寄せられた問い合わせへの対応機能もあります。

slack,chatworkなどのツールとも連携し、フォームへの問い合わせがあった場合に通知を受け取ることも可能です。

無料トライアル:あり(30日間)

料金プラン:

FREE 0円/月(1ユーザーあたり)

STARTER 4,980円/月(1ユーザーあたり)

PROFESSIONAL 12,800円/月(1ユーザーあたり)

formrun formrun

メール対応中心、BtoB対応のツール

ツール名

無料トライアル

1ユーザーあたりの最低月額

導入企業(一例)

OKWAVE IBiSE

11,500円~

未公表

OKWAVE IBiSE

「OKWAVE IBiSE」は、社内外への情報共有や問い合わせの一元管理が可能なクラウド型ヘルプデスクツールです。

問い合わせの一元管理が可能なチケット管理機能に加え、共有したいナレッジを簡単に作成できる「記事管理」機能があり、社内外への手軽な情報共有を実現。

問い合わせがあった場合、ビジネスチャットツールの「Slack」などで通知を受け取ることもできます。

無料トライアル:あり(30日間)

料金プラン:

  • Essentialプラン(年払いの場合):基本料金月額1万円+1,500円/1ユーザー毎
  • Standardプラン(年払い):基本料金月額3万円+4,000円/1ユーザー毎
  • Professionalプラン(年払い):基本料金月額10万円+8,000円/1ユーザー毎
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