カスタマーサポートやヘルプデスク業務におけるSLAとは?

サービス品質保証とは、サービスの品質、可用性、適時性などについて最低限のサービス条件をまとめた、エンドユーザーと企業との間に結ばれる合意のことです。SLAは顧客へ向けた期待値を設定し、企業が約束を継続的に果たすために用いられています。様々な種類の問い合わせや顧客セグメントに対し期限を設定することで、顧客へ対しタイムリーなサポートの提供を保証するため、顧客サポートにおいてよく利用されています。 

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顧客サポートにおけるSLA

顧客サポートにおけるSLAでは、顧客が合意した時間ベースでの期限であり、契約またはサービス規約に記載されているものです。ここでは顧客からの様々な問い合わせに対し、企業が回答または解決するまでの一定時間を設定します。SLAは次の3種類です:

回答時間に関するSLA

回答に関するSLAでは、エージェントが顧客からのメッセージへ回答するまでの期限を設定します。回答時間に関するSLAでは、顧客がエージェントからの回答や進捗状況の連絡を長時間待つことがないよう保証しています。初回応答は、顧客へ対し問い合せを受け取ったということの確認でもあるため、初回応答までの時間はSLAにおいて特に重要です。顧客は、人間のエージェントが自分の問題について調べてくれているということがわかると、解決まで安心して待つことができるようになります。

解決に関するSLA

問題や報告に対してはそれぞれ、問い合わせをいつまでにクローズするか、または解決しなくてはならないかという期限を設定する、解決に関するSLAが割り当てられます。解決に関するSLAでは、簡単な回答のみで対応するのではなく、意義のある回答をしたり、行動を取ることで、顧客の問題にしっかりと対処することを保証します。

問題ベースのSLA

故障やサービスに関する問題など、緊急な対応や解決が必要な問題も存在します。問題ベースのSLAでは、特定の問い合わせに対し、特定の期限を設定します。

複数のSLA

チームが拡大するにつれ、様々なタイプの顧客に満足してもらうためにも、複数のSLAポリシーを設定することの重要性が高まります。全ての問題が緊急を要するわけではありません。複数のSLAポリシーを設定することは、チーム内で問い合せに優先順位をつける上で役立ちます。一般的なポリシーをいくつかご紹介します:

地域別

エージェントが対応可能な時間や顧客の居住地により、タイムゾーンや地域ごとに営業時間を設定します。

契約プラン別

VIPの顧客へ対し、迅速にサポートを提供することができるよう、高い優先度に関するSLAを設定します。

問題別

より厳格なSLAポリシーを設定し、エージェントが受信した問い合わせに対し、適切な順番で対処することができるよう、緊急性の高い問題を優先します。

OLASLA

OLA(運用レベルレベル合意書)とは、全体的なSLAを顧客へ提供するための、組織内で運用を担当する部署やチーム間における合意のことです。例えば、企業が顧客へ対し、24時間以内の解決を約束している場合、各部署では、エンジニアによる4時間のトリアージOLA、システム管理者による8時間の解決時間といった複数のOLAを順守する必要があります。SLAを順守するには、内部チーム間での連携が必要であり、OLAはプロセス全体を通し、この責任を果たすサポートをします。

顧客サポートチーム用SLAの設定ガイド

SLAを順守するために必要な時間を適切に決定する際には、うまくバランスを取ることが重要です。即答を約束したいのはもちろんですが、これは顧客へ対する約束としては現実的ではありません。回答時間について過大な約束をし、それが達成できない場合には、顧客を落胆させることになり、さらには罰金、利用クレジットの提供または契約の解除など、法的かつ重大な結果へと繋がる恐れがあります。

その一方で、顧客にとってSLAは、サポートが必要になる可能性がある場合や、実際に必要になったときに、タイムリーな回答を得ることができるという安心材料となります。目標を高く設定し過ぎると、回答がすぐに来ないことに顧客はがっかりしてしまいます。約束が少し大げさであっても、それでも顧客のニーズを満たすことができるという、そのバランスを見い出してください。これはSLAポリシーを顧客セグメントに合わせ個々に設定することで実現可能です。SLAチームポリシーを設定する際に考慮すべきことを6つご紹介します。

SLAはサポートチームの目標と合致しているべきか?

SLAは、顧客へ対する約束事です。企業規模が小さく、契約または法的拘束力のあるSLAを提供していない場合、あなたの企業におけるSLAは、顧客サポートチームが回答および解決時間として設定した社内目標と同様であるかもしれません。

しかし、サービス利用規約内または法的な取り決めにおいてSLAを設定している場合には、違反した際に重大な影響が及びます。顧客サポートチームの目標が、最低限のサービスレベルを満たすだけのものであってはなりません。この場合には、SLA違反を避けるためというよりもむしろ、意欲的に目標をより高く設定するべきです。

さらに、内部の目標と同じく、外部SLAを設定してしまうと、ミスが許されなくなってしまいます。SLAの範囲内で問い合わせを解決することを目標とするのが理想です。SLAは、顧客が待つことのできる最長の許容時間であるべきであり、品質を計るためのものであるべきではありません。

常に顧客の期待値を超えることができるよう、顧客サポートチームの回答および解決時間の目標は、SLAよりもかなり下回った値で設定するのが最善です。

顧客セグメントの把握

SLAポリシーを決定する際には、全ての顧客を一緒くたにするか、特定の顧客に対しては別のポリシーを設定するかを考慮することが大切です。契約プランや契約条件に基づき、顧客のニーズを理解することで、より顧客1人1人に合ったサービスを提供することが可能となります。顧客グループを分類する方法には2つあります:

契約プラン別に顧客を分類する

高額な契約プランを利用している顧客は、低額や無料プランの顧客よりも優先順位が高くなるでしょう。無料のユーザーへ対しSLAを設定する必要は必ずしもありませんが、企業顧客へ対しSLAを設定するのは当然ですし、さらには契約交渉において多くの場合必要とされます。

VIP顧客用にカスタマイズしたSLA

高額な契約に対してはしばしば、契約者1人1人に見合ったSLA条件が必要となります。複数のSLAポリシーにより、それぞれの顧客や、起こり得るかもしれないそれぞれの状況に対し、個々に期限を設定します。

よくある問題を分類する

どの顧客が抱える問題ももちろん重要ですが、全てが緊急を要するわけではありません。優先度ごとによくある問題を分類し、質問の種類ごとに個々のSLAを設定することで、顧客のニーズに対し、よりわかりやすく優先順位をつけることが可能になります。例えば、故障時のSLA時間は、請求先住所の変更依頼の物よりもかなり短くなります。複数のSLAを用いることで、様々なタイプの顧客に対し、個別に柔軟かつきめ細かなサポートを提供することが可能になります。

顧客の声に耳を傾ける

SLAポリシーを設定する際は、顧客からのフィードバックを考慮しましょう。顧客が対応の遅さに対し苦情を言っていたり、または満足度が低かった場合には、全ての顧客からのニーズを満たすことができるよう、SLAを再確認するべきです。

なぜ顧客が一定の回答時間を必要としているのかを理解することも重要です。バンキングアプリまたはPOSシステムといった重要性の高いソフトウェアや製品においては、少しの待ち時間でも耐えがたいため、より迅速なSLAが必要となります。Eコマースまたは娯楽用アプリなどの製品では、重要度が下がるため、それほど迅速に回答する必要はないかもしれません-これは、貴重な人員を別のタスクへ割り当てられるということを意味しています。

SLAを順守するための人材配置

エージェントの可用性に合わせてSLAを最適化することは魅力的に思えるかもしれませんが、しかしこれはアプローチとしては間違っています。顧客体験を最優先としたSLAポリシーをベースとし、条件に見合うよう人材を配置します。顧客の満足度を満たすことができず、さらにはSLA違反が発生している場合には、受信する問い合わせに対応するため、さらにエージェントを採用する必要があるということです。

SLAをサポートするためのOLAを設定

内部で連携を取りながら問い合わせを解決する必要がある際、運用レベル合意書は、SLAを継続的に順守するためも大変重要です。以上でも説明した通り、OLAは、ボトルネックを避けるために役立つ、内部チーム間における合意です。SLAが満たされなかったとき、顧客にとってはそれがエンジニア、サポートまたはシステム管理者、誰の責任であるのかは関係ありません。ここで意味を持つのは、合意が尊重されなかったという事実だけです。OLAは、チームが連携を取り、顧客へ対する約束を果たすための手助けとなります。

営業時間または顧客カレンダーに基づいたSLA

24時間年中無休サポートを提供していない場合には、営業時間のみを考慮したSLAの設定が可能です。例えば、24時間以内の回答時間というSLAを設定しているにも関わらず、エージェントが対応しているのは平日のみという場合、金曜日の午後にEメールを送信した顧客が返信を受け取るのは月曜日ということになります。顧客カレンダーに基づいた時間ではなく、営業時間に対しSLAを設定することは、エージェントが業務を行っている間のみSLAが有効となるということです。

しかし、営業時間を用いることで、レポートの内容は良くなるかもしれませんが、顧客は週末の間(または夜間)ずっと返信を待っているということになります。対応できるエージェントがいるかどうかなどは顧客には関係ありません-サポートを受けていない、という事実だけが認識されてしまうのです。営業時間のSLAに関するレポートのみを選択している場合でも、異なるタイムゾーンに住んでいる顧客、または営業時間外に問い合わせをしようとしている顧客の顧客体験を心に留めておくことが大切です。

ヘルプデスクにおけるSLA管理

SLAの内容を確定させ顧客への周知が完了したら、今度はチームが継続して期限を厳守するために、時間を管理し、適切に追跡することが非常に重要となります。各顧客からの連絡に関し、時間を常に確認する必要があるため、手動でSLAを管理することはほぼ不可能です。SLAの追跡、優先順位付け、自動化およびレポートをヘルプデスクに任せる方がはるかに良い方法だと言えます。より良い顧客体験を提供するため、チームがヘルプデスクを使い、どのようにSLAを順守し続けることができるのかについてご紹介します:

追跡

Freshdesk内にSLAポリシーを設定すると、顧客タイプ、製品の問題といった、既に設定済みのあらゆる基準に基づくSLAが、顧客からの問い合わせに対し割り当てられます。問い合わせに対するエージェントの返信を待っている間も、ヘルプデスクでは自動的に時間の経過を追跡します。

優先順位付け

顧客のサポートに関し、エージェントが考慮しなければならないことはたくさんあります。次にどの問い合わせに対応するかということが、エージェントにとっての重要な決断であってはなりません。SLA管理にヘルプデスクを利用すると、問い合わせは自動的に最適な人材へと転送され、回答SLAであれ、解決SLAであれ、SLA違反までの期限によって優先順位を付けることが可能になります。

リマインダー

エージェントは業務をメールのみで行っているわけではないため、時間の経過を失念し、うっかり問い合わせの期限に関するSLAに違反してしまうということが簡単に起こり得ます。または顧客からの返信、あるいは新しい問い合わせが作成されていることに気付いていないかもしれません。このようなときに、SLAリマインダーが役立ちます。SLA違反発生前の特定の時間に、ヘルプデスクがチームのメンバー全員へ自動でメールを送信します。これにより、顧客が必要としている回答を得ることができるよう、エージェントの誰かが、期限が近付いている問い合わせに即対応できるのです。ヘルプデスクによる、正しい方向への誘導だと思ってください。

エスカレーション

問い合わせがSLAに違反してしまった際には、直ちにアクションを取ることが求められます。ヘルプデスクでは、フォローアップに加え、何が起こったのかを調査するため、自動的に問い合わせを責任者へエスカレーションします。エスカレーション後でも問題が解決しない場合は、確実に対処するため、問い合わせは経営層へとさらにエスカレーションされます。

レポート

SLA期限をどのくらいの頻度で、またいつ超過しているかについて把握することは、顧客体験を向上させる上でも非常に重要です。違反を詳しく調査し、違反の理由や動向を明らかにしたり、解決すべき不足点がどこにあるのかを特定するには、ヘルプデスクのレポート機能を活用してください。例えば、SLA違反の多くが月曜日の朝に発生している場合、週末のサポートを検討したり、月曜日に対応可能なエージェントの数を増やすべきなのかもしれません。企業契約の中には、契約内容の一部として、SLA違反に関するレポートの提出が必要な場合もありますので、お使いのヘルプデスクでクライアントから要求されているSLAレポートも同様に提出することができるようにしておくとよいでしょう。

SLA違反の管理方法

チームが常にSLAを満たすよう対策を講じていたとしても、違反は避けることができません。起きてしまったことは仕方ありませんし、業務の中断や邪魔が発生して、気が付いたときには、すでに顧客への返信期限を過ぎていることもあります。しかし幸いなことに、何度もSLA違反をしない限り、顧客は違反が発生したという事実よりも、その違反がどのように対処されたかということをより気にかけるものなのです。次に、SLA違反管理および顧客を終始味方につけるための4つの戦略をご紹介します。

顧客へ常に情報を提供する

悪い知らせは時間の経過を待たずに知らせましょう。SLA違反が発生すると気付いたら、すぐに顧客へ知らせてください。

SLA違反の発生について通知をする際は、可能な限り事態をはっきりと説明します。何が起こったのか、次に取る手順は何かを顧客へ知らせ、責任を果たせなかったことについて謝罪をします。問題の進捗状況を積極的に顧客へお知らせし、その他SLA違反の可能性についても把握しておきましょう。

リマインダーおよびエスカレーション設定を再確認する

自動機能やエスカレーション機能を使うことで、SLA違反に素早く効果的に対応することが可能です。違反に対応することのできる適切な人材へ、確実にそしてまだ対応が可能なタイミングでリマインダーが送信されるようにしてください。SLA違反が発生した際、エスカレーションする相手、そしてその順番が正しいかを再度確認しましょう。

法務チームが契約に携わる

契約内でSLAについて明確にしている顧客とやり取りをしている場合には、顧客へ何かを約束してしまう前に、できるだけすぐ法務チームと連絡を取りましょう。違反の報告に関する特別な要件合わせ、ペナルティーの可能性を軽減するため、顧客の期待に沿うようサポートをしてくれるでしょう。

さらにエスカレーションは、法務チームに積極的かつ自動的に通知し、SLA期限超過に関し、全員に情報を提供することにも役立ちます。

違反が繰り返されることがないよう、プロセスを評価する

SLA違反が頻繁に発生する場合、なぜ違反が発生したのかについて掘り下げ、事後調査を実施する必要があります。チームが対応しきれなくなってしまったのでしょうか?障害となる社内のボトルネックを解消するため、OLAを設定する必要があるのでしょうか?なぜSLA違反が発生したのかを把握することは、顧客体験を継続的に向上させていく上でも非常に重要です。

Freshdesk SLAを管理し、常に顧客満足を実現

Freshdeskでは、複数のSLAポリシー、営業時間または顧客カレンダー設定、簡単なエスカレーション設定や自動リマインダー設定など、詳細におよぶSLA管理機能をご利用いただけます。

顧客がタイムリーに回答を得ることができるよう、そして問題を迅速に解決できるようSLAを用いることで、常に顧客が喜ぶサポートを提供することへと繋がります。サービス利用規約内において、クライアントがSLAを必要としているかどうかに関わらず、顧客へ対し保証をすることは、総合してより素晴らしい体験を提供することとなります。

ヘルプデスクでは、時間の追跡、顧客からの問い合わせの優先順位付け、エージェントへの期限予定のリマインドを自動化することで、チームが今までよりもずっと簡単に、SLAワークフローに対処することができるようになります。Freshdesk内にSLAポリシーを設定し、あらゆるタスクをスムーズに進行させましょう。

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